民事再生における清算価値とは?

清算価値の概要

清算価値とは、破産手続きをとった場合に財産を清算したとして、いくらになるかという計算に基づく価格のことです。小規模個人再生や給与所得者等再生においては、再生計画案における弁済予定額は、この額を下回ることはできません。これを清算価値基準といいます。

 もう少し平易な言葉で言い換えると、清算価値とは持っている資産のうち破産手続きを取ったとしてもなお手元に残せるものを除いたものの価値のことであり、個人の民事再生で返済計画案を立てる場合には最低でもその金額は返す内容にしないと許可が下りません。例えば、500万円の債務があるとき最低弁済額基準だと5分の1で100万円まで減らせそうですが、その再生債務者が300万円の(破産なら)換価対象の資産を持っていれば300万円未満には減らせない、ということになります。

清算価値の具体例

清算価値に含まれる資産としてはさまざまなものが考えられます。
東京地裁の基準でいうと、代表的なものとしては
・住宅(ただし、抵当権がついている場合はその債権額を差し引く。したがって、オーバーローンならゼロ円)
・預貯金(20万円以上の場合)
・現金(99万円以上)
・退職金の8分の1(20万円以上の場合)
・保険の解約返戻金(20万円以上の場合)
などが典型的ですが、これらに限られるものではありません。破産において自由財産をされるものを除く資産は、基本的に計上しないといけないと考えられます。また、裁判所により自由財産の範囲として扱うものの基準が異なる場合があり、その結果、清算価値の計算方法も変わってくる場合があります。

また、注意が必要な点としては、相続財産も資産となるということです。遺産分割未了で共有のままの場合には法定相続分に基づいて計算します。
例えば、1000万円の価値の住宅(すでにローンはないとする)が相続財産として存在して、法定相続分が1/2の場合、500万円を清算価値に計上する必要があります。
このように、相続財産があると、再生手続きに大きな影響を与えることがあるので、要注意です。

場合により清算価値に乗せるべきもの

上記のような典型的なものの他、偏波弁済や直前における無償行為(贈与)など破産の場合に否認対象になりうるものがある場合には、その額を清算価値に加えるという扱いがされることもあります。

清算価値の基準時

 清算価値は、再生計画案認可時を基準とします。ただ、申立書作成時点では認可時の正確な資産状況はわからないので、まずは申し立て時点の数値で提出して清算価値シートを作成し、再生計画案作成時点で修正するのが一般的です。再生計画案提出の時には認可・不認可の決定をする予定日が決まっているので、その日の数値を想定して修正します。(再生手続きは順調に進む場合、申し立て→開始決定→認可、と進みます)

 住宅の価値は担保している住宅資金貸付債権の返済が進むことで上がるので、それを反映した額にする(通常、査定は取り直しません)、退職金(通常は8分の1)額についても変動があるときは反映する、預貯金額も再生計画案提出時の額に変更する、という形で清算価値シートを修正することは多いですが、具体的にどの項目について厳密な修正を行うかは裁判所ないし再生委員と協議して進めることになります。

 修正するなら、最初から認可決定時点を想定した額で計算すればよいと思われるかもしれませんが、認可決定予定日は開始決定時に進行予定表が出されて初めてわかりますので、開始決定後の修正とせざるを得ないところです。

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