1、債権調査の結果過払い金が判明!

任意整理のつもりで弁護士に依頼した結果、過払い金が発生していて、逆に返金を求めることが明らかになるケースがあります。これは、利息制限法の上限を上回る利率での取引があった場合、適法利率で計算しなおすことで、実際は完済になり、さらに払いすぎていることが判明する場合があるということです。
任意整理でも、あるいは民事再生や自己破産でも、依頼を受けた弁護士は、まず各債権者(カード会社や消費者金融など)に受任通知を送り、取引履歴を取り寄せます。その結果、利息制限法の上限を上回っていることが分かった場合は、適法利率での計算を行います。これを引き直し計算、といいます。

2、利息制限法の上限利率とは?

利息制限法の上限利率は元金が10万円未満の時は20%、10万円以上100万円未満の時は18%、100万円以上の時は15%です。ただし、一度利率が下がると、再度上がることはありません。つまり、例えば一度100万円に達すれば、以後の適法利率の上限は15%となります。

3、利息制限法を超える取引が行われていたのはいつまで?

貸金業法改正により、利息制限法を超える取引は認められなくなりました。これは、2010年6月のことです。また、2006年に利息制限法を超える金利での利息の返還義務を認める最高裁判例が出たため、2007年頃に大手カード会社や大手消費者金融は新規契約の利率を下げています。ただし、それ以後も、以前に契約した場合には、利息制限法を超える利率のままの場合もあります。

4、利息制限法を超えている=過払い金?

利息制限法を超えていれば必ず過払いになるのでしょうか? 実は、そういうわけでもありません。なぜなら、過払いとは、引き直し計算の結果、残債務が消えて、逆に返還請求できる状態のことをいうからです。その点、払い過ぎの利息があっても、残高が減るだけで、返還請求できるところまではいかない場合もあります。もちろん、残高が減る分、メリットはありますが、その場合は、残高を分割で弁済していくことになります(任意整理)。

5、調査は弁護士に任せられる?

任意整理など、何らかの債務整理をご依頼の場合や、完済後に過払い回収をご依頼の場合は、弁護士が取引履歴を取り寄せて、計算することで、過払いの有無はわかります。ただ、残高がある場合、いったん介入すると、過払いがないからやめる、というわけにもいきません。弁護士の介入ですでに任意整理などがはじまってしまっているからです。委任契約の解除はできますが、そうすると残債務の返済についてご自身で交渉していただく必要が出てきます。それゆえ、通常、弁護士に依頼すれば、和解まで弁護士が進めていくことになります。
もし、「過払いがあるか、少なくとも元本が減る場合だけ依頼したい」という会いに、あらかじめ引き直し計算をして調査することはできるでしょうか? 実は、できなくもないです。そのためには、ご本人様から各債権者に電話をして、取引履歴を取り寄せて、弁護士に渡していただければ、引き直し計算をして結果をお知らせすることができます。その結果を見てから、依頼するかどうかを考える、ということもできるのです。

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