過払い金返還請求訴訟について

1.過払い金返還請求訴訟とは何か?

過払い金返還請求訴訟は、正式には、不当利得返還請求事件、といい、貸金業者(カード会社や消費者金融等)が利息制限法を超える高い利率で利息を受け取っていた分を取り戻すための裁判です。業者は本来は受け取ってはいけない利息を「不当に」受け取っていたわけで、その返還を求める裁判なので、「不当利得返還請求事件」というわけです。ちなみに、この類型は過払い訴訟に限った類型ではなく、同様に不当に利得を得ていた者に対する返還請求の訴訟で使われます。つまり、過払い金返還請求訴訟は、不当利得返還請求事件の一類型と言えます。

第1審は、金額により、地方裁判所または簡易裁判所で行われます。基本的に、原告(過払い金を請求する側)の住所地を管轄する裁判所か、被告(貸金業者等)の本店所在地を管轄する裁判所のいずれかで行われます。上記のうちいずれで行うかは、訴状を提出する際に原告側が選ぶことができます。上記のうち、訴訟をしたい方の裁判所に訴状を出せば、特殊な事情で移送されない限り、その裁判所で審理が進んでいきます。例えば、ご自身が立川に住んでいて、相手方のカード会社の本社が名古屋にある場合、立川の裁判所(金額により、東京地裁立川支部または立川簡裁)に訴状を出せば、立川の裁判所で審理が行われます。

なお、第1審の判決に対して不満がある場合は、控訴することができます。控訴は一つ上の裁判所で再度審理をしてもらうことを意味し、最初が地方裁判所の場合は高等裁判所で、最初が簡易裁判所の場合は地方裁判所で行われます。なお、審理は一つ上の裁判所ですが、控訴状は原審の裁判所に出す必要があり、また、控訴は一審判決が送達されてから2週間という期限があるので、要注意です。

なお、相手方から控訴してくる場合もあります。

2.過払い金を返してもらうために裁判が必要か?

そもそも、過払い金返還請求のために裁判は必要でしょうか? 過払い金返還請求は、弁護士にご依頼いただいた場合、まず、弁護士は相手方と交渉します。交渉の結果、充分な金額の提案が来れば、そこで和解として、あとは返金を待つだけとなります。もちろん、和解をする前には、必ず、ご依頼者様に確認を頂きます。大手の消費者金融やカード会社だと、必ずしも満額ではなくても、それなりの水準で返還の提案をしてくる場合も多いです(ただ、業者により傾向は異なります)。したがって、必ずしも訴訟をする必要はなく、和解で解決する案件のほうが多いです。

一方、業者側から過払い金返還について不十分な提案しか来ない場合は、訴訟が選択肢に入ってきます。もっとも、金額が低くても早期解決を優先したいという場合は、和解で解決することもできますが、提案の額では納得できないという場合は、訴訟をすることが選択肢となります。

3.訴訟をするとき本人の出廷は必要か?

過払い金返還請求訴訟ですが、弁護士にご依頼の場合、ご本人様の出廷の必要はありません。なぜなら、弁護士が代理人として出廷するからです。

なお、民事の裁判においては当事者尋問のために出廷ということは理屈の上ではありえますが、過払い金の訴訟では、実際にはほとんどないと思います。少なくとも、当事務所で扱った過払い金の案件ではこれまで当事者尋問が行われた例はなかったです。これは、過払い訴訟の場合、取引履歴をみれば重要な点はわかり、また、仮に裁判官が本人に取引に関する事情を聴きたい場合でも陳述書の提出で充分と考えられるからです。

ちなみに、陳述書を求められるのは、取引の空白があるときに一連か分断かが争点となったり、取引履歴の一部未開示(かなり古い時期の取引履歴がすでにないとして開示されない場合があります)の場合に取引の内容が争点となったりした場合等ですが、そういう場合でも実際に陳述書を求められることは少ないです。

それゆえ、過払い訴訟はほとんどの場合弁護士に任せておいて途中経過や相手からの提案についての報告をお待ちいただければよく、特にご本人様にしていただくことはないことになります。ただ、最終的に、和解をするか判決が出るまで続けるか、等、進め方についてはご本人様にご判断いただく必要があるので、弁護士と何らかの方法でやり取り(連絡)をしていただくことは必要となります。

4.過払い訴訟はどれくらい時間がかかるか?

過払い訴訟は、どれくらい時間がかかるでしょうか? これは、ケースによります。判決まで進める場合は、6か月~1年程度かかる場合が多いと思います。また、第1審の判決後に控訴されると(あるいはこちらから控訴すると)、さらに半年程度かかりますが、控訴審まで進むケースは稀です。

また、途中で和解をして終わるケースも多く、その場合は、実質的には早く終わる場合が多いです。

すなわち、訴状を出すと、相手方も提案額を急に上げることがよくあります。もちろん、その額は満額とは限らないですが、提訴前よりは高いことが多いので、そこで和解にすることもできます。実際のところ、過払い訴訟では、判決まで進めるより途中で和解で終わることのほうが多いです。

訴訟提起をしてから和解をする場合、裁判上の和解をする場合と、訴外和解にして入金後に取り下げる、という場合があります。前者の場合は裁判所によって和解調書が作られます。いずれにしても有効な和解であることには変わりません。

5.過払い訴訟で争点になりがちなところ

さて、では、訴訟ではどういう争点がありうるでしょうか? 最近、よく主張されるのは、

  • 民法上の「悪意の受益者」ではないので過払い金には利息を付けないという主張
  • 途中で一度完済しているので、途中完済より前は時効であるという主張
  • 貸付停止措置が取られているので時効は個々の返済から数えるべきという主張

などがあります。もちろん、こういった争点がほとんどない場合もありますが、争点が出てきた場合も、弁護士が書面を出して反論するので、ご本人様は法律の知識はなくても大丈夫です。弁護士から、リスクも含めて、できるだけわかりやすく説明させていただきます。

6.過払い訴訟をするメリット

交渉で解決する場合と比べて、充分な金額での返還となる場合が多いです。特に、過払い金に対する民事法定利率での利息(改正前の法適用だと年率5%)については訴訟をしないと応じてくれない業者も多いので、過払い金に対する利息も多く発生している場合は訴訟をするメリットが多いことが予想されます。

ただ、任意交渉では主張していなかった争点が訴訟になると主張される場合もあるので、訴訟をするかどうかは、弁護士とよく協議したほうが良いでしょう。もちろん、弁護士からも、訴訟にした場合の見通しについて説明させていただきます。

7.まとめ

過払い金返還請求をする場合、交渉だけで終わる場合もあれば訴訟にしたほうが良い場合もあります。訴訟の場合も弁護士が代理人として出廷するので、ご本人様が出廷する必要はありません。

当事者尋問が実施されることも過払い訴訟ではほとんどありません。

また、訴訟にしたとしても判決まで進むとは限らず、途中で和解で終わる場合が多いです。

このように、「裁判」といってもご本人様にご負担をおかけすることはほとんどないので、交渉だけでは十分な金額の過払い金を回収できそうにない場合は、訴訟による回収を行うことも積極的に検討すると良いでしょう。ただ、交渉だけによる場合よりは時間がかかることが多いので、早期の返還を重視する場合は、敢えて任意交渉の段階で和解をするという選択もあり得ます。また、取引の分断や時効の個別進行など重要な争点がある場合は必ずしも訴訟による解決が有利な結果につながるとは限らないので、そのような場合には、訴訟にするかどうかは、弁護士とよく相談することが望ましいと思います。

当事務所では、多くの過払い金返還請求案件を扱っており、過払い訴訟も代理人として多く経験しているので、過払い金の返還請求を考えておられる方は、ぜひ、ご相談ください。お電話か電子メールでご予約の上、立川の当事務所までご来訪をお願いします。なお、相談だけなら無料、また、ご依頼の場合も完済後の場合は着手金は無料で、戻ってきた過払い金の中から弁護士費用をお支払いいただく仕組みとなっています。

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