債務整理Q&A
可処分所得基準とは何ですか?
A. 可処分所得基準とは、給与所得者等再生において、再生計画案において定められる返済額の最低額は再生債務者の可処分所得の2年分を下回ってはいけないとする原則に基づく弁済額の基準です。
民事再生法においては、「可処分所得」あるいは、「可処分所得基準」という用語は直接は使われていませんが、241条2項7号に「計画弁済総額が、次のイからハまでに掲げる区分に応じ、それぞれイからハまでに定める額から再生債務者及びその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要な一年分の費用の額を控除した額に二を乗じた額以上の額であると認めることができないとき。」には認可しない旨が定められており、これが可処分所得基準を定める条文となっています。
すなわち、収入から税金や社会保険料及び、「最低限度の生活を維持するために必要な一年分の費用の額」を差し引いたものを可処分所得とし、その2年分は返済に充てるということが求められています。なお、「最低限度の生活を維持するために必要な一年分の費用の額」は法令で計算方法が決まっています。
可処分所得の2年分ですから、場合によってはかなり金額が大きくなります。この点が、小規模個人再生と比べて給与所得者等再生が使いづらいと言われる大きな理由の一つです。しかし、よく考えてみると、最低限度の生活をした場合に出る余剰の2年分を、再生計画案に従って3年~5年で返済するわけなので、考え方としてはそれほど無理なく返せるはずということになります。(再生認可後に急に収入が減ったような場合は難しくなるかもしれませんが)
給与所得者等再生の場合にこの基準が定められたのは、小規模個人再生と異なり、債権者の消極的同意を求める仕組みがない(小規模個人再生の場合、再生計画案に対する債権者の積極的な同意までは必要はないものの、不同意意見が債権者数の半数以上、あるいは債権額の過半数に達すると不許可になりますが、給与所得者等再生の場合債権者の同意は不要です)ので、債権者の利益を守るために定められたものであると考えられます。
小規模個人再生の場合は可処分所得基準は適用されず、給与所得者等再生の場合のみ、この基準を満たさなくてはいけません。なお、給与所得者等再生でも、最低弁済額基準と清算価値基準も満たさないといけないことに留意が必要です。