法人破産の費用がケースにより異なるのはなぜですか?
個人の破産の場合、同時廃止、少額管財、それぞれについて事務所の費用は明確です。すなわち、令和7年6月現在だと、同時廃止は30万円(税込33万円)、少額管財は40万円(税込44万円)となっており、それ以外に実費及び少額管財だと管財予納金が発生します。一方、法人破産の費用は、法人の規模や原状により異なります。では、なぜ法人破産の場合は、案件により費用が異なるのでしょうか?
ここで、破産の費用には、弁護士報酬、予納金、実費が含まれていることについての説明が必要だと思います。すなわち、弁護士報酬は文字通り弁護士の報酬、予納金は管財人に支払う費用、実費は裁判所の印紙代や郵便代金など各種経費を指します。このうち、変動が大きいのは、弁護士報酬と管財予納金です。すなわち、法人破産の場合、法人の規模や原状により弁護士報酬と管財予納金がかなり異なります。
まず、弁護士報酬ですが、基本的に弁護士業務の難易度や業務の分量により変わってきます。法人破産の場合、現に営業している法人、オフィスや工場などの賃貸借物件がありこれから退去・原状回復する必要がる、従業員がいて給与の未払いが発生している、債権者(特に金融機関以外)数が多い、などの場合、対応しないといけないことが多く、弁護士の業務が多くなりがちです。したがって、このような場合には弁護士報酬は高めになります。一方、すでに事業を停止して時間が経っていたり、経営者とその家族以外に従業員がいなかったり、賃貸物件がない、債権者は金融機関だけ、というような場合は弁護士業務は少なめの場合が多いので、そのような場合は弁護士費用を低めにできることが多いです。
管財予納金も同様で、裁判所が金額を決める際に、予想される管財業務の量や難易度に応じて決めていると考えられます。比較的業務量が少なそうな案件なら管財予納金は個人の破産と同じ20万円のこともありますが、管財業務の量がそれなりに多そうな案件だと、例えば、50万円以上を求められる場合もあります。なお、法人に資産が残っている場合はすべて管財人に引き継ぐので、それが充分な金額であれば、別途予納金を用意する必要はないです。
このように、法人破産の場合は、法人の規模や現状によって申立代理人弁護士及び管財人の業務量がかなり異なってくるので、弁護士報酬と管財予納金の額が案件によりある程度異なるのは避けがたいことです。このうち、弁護士報酬については契約の際に説明して委任契約書に明記させていただきます。一方、管財予納金については裁判所が決めるので断言はできませんが、状況に応じてある程度の予測で説明させていただきます。
法人破産をお考えの方は、まずは弁護士にご相談ください。費用に関することも含めて、説明させていただきます。