1、法人破産と個人の破産の違い

法人破産も個人の破産もいずれも破産法に規定されてます。それゆえ、気を付けることには共通することもあります。しかし、法人破産独特の事情もあります。それは、事業のための資産があることが多かったり、従業員など関係者が多かったり、法人がいずれ消滅することとも関係があったり、します。以下に法人破産の際に気を付けるべきことのうち、重要なものをいくつか書いてみました。これらがすべてというわけではないので、具体的には依頼する弁護士の指示に従ってください。

2、資産の保全に注意が必要

法人の場合、事業用の資産があることが多いです。これは、建設会社の重機、オフィスのパソコンや机、飲食店のいすやテーブル、など様々なものが該当しますが、それらは、管財人に引き渡さないといけません。ところが、破産手続きをすると聞いた債権者が、少しでも損をしないように、とそういった備品を持ち出してしまうことがあります。もちろん、これは違法ですが、それを防ぐためには、破産予定の法人側でも対策が必要です。例えば、鍵をかける、弁護士名で警告の張り紙をする、などの方法で、持ち出しを防ぐことが考えられます。

3、秘密にするべきかどうか?

通常、弁護士に依頼すると、弁護士は債権者への受任通知の送付などにより外部に債務整理(破産など)をすることを明らかにしつつ、申し立てへ向けた作業を進めていきます。しかし、法人破産の場合、申し立て前に破産の意図と明らかにすることで資産の持ち去りなど問題が生じる恐れもあります。そこで、弁護士は相談だけ受けて、破産の準備をしつつ、準備が整ったところで依頼を受け、同日中に申し立て、というような方法で、債権者にわからないように手続きを進めて開始決定を出してもらう、という場合もあります。この場合、資産の管理や債権者対応は速やかに管財人に引き継がれることとなります。
破産する予定だということが債権者にわかってしまうと、混乱が生じる恐れが高い場合に、このような方法を使う場合があります。ただし、破産の意図を隠して発注や借り入れを行ってはいけません。あくまで、混乱を避けるために債権者に知らせないというだけであり、破産手続きを取るつもりなのに新たな発注等を行うことは違法となりうるので、注意が必要です。

4、一部の債権者にだけ返済してはいけない

一部の債権者にだけ優先的に従うことを偏波弁済といい、これも手続き上行ってはいけないことです。個人の場合でも同様に問題ですが、法人の場合は取引先などに先に支払いたいということになりがちで、しかし、これは偏波弁済として認められません。知り合いなどから自分の分だけは先に返してくれ、と言われても応じてはいけないのです。

5、すべての債権者を把握して依頼する弁護士に伝える

破産の場合は、すべての債権者を対象にする必要があります。銀行や信用金庫などの金融機関の他、買掛債務、未払いの賃金、未払いの税金や社会保険料、など種類に関わらずすべての債務について、依頼する弁護士にお伝えください。これは、個人の破産の場合も同じですが、法人の場合は日々の事業の中で比較的少額のものも含めて各種の債務が発生することも多く、見落としが生じがちなので、注意が必要です。

6、すべての買掛先を把握して依頼する弁護士に伝える

 売掛債権は、弁護士が回収するか、管財人が回収することになるので、これについても、すべてお伝えください。売掛債権も資産となるので、抜けていると資産の保全に関わる問題となってしまいます。必ず、すべての売掛債権について、発生原因、金額、売掛先、支払い期限、等をお伝えいただく必要があります。一覧表を作成してご依頼の際に弁護士に渡すと良いでしょう。

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