FXの借金で破産はできるか?

1, 破産と免責について

破産手続きと免責は、通常、連続して行われるものの、実は制度としては別個の手続きです。すなわち、簡単に言うと、破産は裁判所が支払い不能などの原因を認めて財産の換価などの手続きを進めていくことであり、免責は残った債務を免除する手続きのことで、破産申し立てをすれば債務者が反対の意思表示をしていない限り免責の申し立てをしたものとみなされます(破産法248条4項)が、制度上、別個の手続きです。それゆえ、破産はしたけれども債務の免除は認められなかったということもあり得ます。

しかし、個人の自己破産の場合、債務の支払いを免除してもらうことを目的に申し立てることがほとんどなので、その場合、免責が下りなければ債務者にとっては破産をする意味がないことになってしまいます。

そこで、FXで借金をしていても破産はできるか、という質問も、一般に、FXで借金をしていても免責が下りるか、という趣旨だと思われます。そこで、以下、FXのための借り入れが原因で自己破産を申し立てた場合に免責が認められるかどうか、という点について議論をしていきたいと思います。

2, 免責不許可事由と裁量免責

破産法は、いくつかの免責不許可事由を定めています(252条)。「次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。」という定め方になっていて、逆に言うと、条文(252条1項)に列記された事由がある時は免責をしないことがありうることが示されています。

ただ、252条2項は「前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。」と定めており、これを裁量免責と呼んでいます。

実際のところ、免責不許可事由があっても裁量免責が行われるケースは多く、免責不許可になるケースは少数です。ただ、免責不許可事由も様々な項目が定められていて、そのどれに該当するか、また、該当するとしてもどの程度だったか、などによって、裁量免責が得やすいかどうか、は異なります。例えば、以前にも破産手続きをしていて、その時に免責の決定を受けて確定してから7年以内の場合は免責不許可事由に該当しますが(252条1項10号イ)、この累計の場合は、一般的に裁量免責を得にくいと言われています。あるいは、浪費(252条1項4号)があった場合には、金額や時期により、裁量免責の得やすさは変わってくるでしょう。ただ、浪費の場合は、反省して、弁護士に依頼後は浪費を控えて慎ましく生活していると、比較的裁量免責を得やすい傾向にあります。

このように、免責不許可事由といっても、どの項目に該当するか、内容はどのようなものか、によって、裁量免責の得やすさは異なります。

3, FXは免責不許可事由に当たるか

上記の252条1項に列記された免責不許可事由の中に、「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。」という規定があります(252条1項4号)。FXはこれに当たりえます。

したがって、FXのために借り入れがあった場合には、免責不許可事由があることを前提に裁量免責を得ることを目指すのが一般的です。そうすると、FXによる借り入れが原因で破産をする場合は、原則として管財事件として扱われると考えられます。なぜなら、裁量免責の可否を管財人が調査する必要があるからです。
ただ、破産手続き開始から相当以前の話で少額の場合、など破産に至る債務増大にほとんど影響を与えていないと思われる場合には例外的に免責不許可事由に当たらないということもあるかもしれません。その場合は、他に管財になる理由がなければ、同時廃止で通る可能性もあると思います。

しかし、やはり、FXは投機性が強い取引ですので、原則は管財事件になると思っていただいたほうが良いです。管財人が付く場合、管財予納金として最低でも20万円の費用がかかりますが、それについても、通常、弁護士に依頼後、申し立て前に分割で用意していただくことになります。

4, FXが原因の場合でも免責は認められるか?

では、FXが原因の破産でも免責は認められるでしょうか? 上記の通り、FXは「射幸行為」に当たり、免責不許可事由に該当すると思われます。そうすると、免責不許可になることも理論的にはあり得ます。

ただ、実際のところは、FXによる破産でも免責が下りることが多いと思われます。現在は免責が不許可になるケースは、かなり少ないです。当事務所でもFXに関連する借り入れが債務の原因に含まれる破産案件を多々扱ってきましたが、これまでのところ、申立てまで至った案件では免責を得られています。
ただし、裁量免責を得るためには、弁護士に依頼後は一切FXをせず、その他の免責不許可事由に当たる行為、特に、賭博や射幸行為に当たる行為をしないことが重要です。仮に、弁護士に相談、依頼後もFXを続けたり、その他の投機的行為を行ってしまうようだと、反省していないとみられて、免責を得られない恐れが高いです。したがって、FXが原因で支払い不能の状態(借金を返せない状態)に至った場合に破産による免責を希望するのであれば、まずはFXをやめないといけません。

その他にも順守すべき事項は多々ありますが、それについては、ご依頼の際に弁護士から説明します。

5, 自己破産は弁護士にご相談を

自己破産手続きは、ぜひ、弁護士にご相談ください。当事務所では、多くの破産案件を扱ってきました。その中には、FXなど投機が原因で破産に至ったケースも多くあります。自己破産をお考えの方は、ぜひ、多摩中央法律事務所にご相談ください。
ご相談には、まずはお電話か電子メールでのご予約をお願いします。ご予約の上、立川の事務所までご来訪ください。平日は午後9時まで(電話受付は午後7時まで)、日曜日は午後7時までの営業となっております。当事務所では、債務整理(破産、再生、任意整理など)や、過払い金については、相談だけなら無料となっております。

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