家族に秘密で破産手続きをすることができるか?

家族に秘密で破産手続きをしたいという場合

家族に破産手続きについて秘密にしたいという方はよくおられます。では、実際に家族に秘密で手続きができるのでしょうか?

自分名義の家に家族と住んでいる場合

ご自身の持ち家に家族と住んでいる場合は、持ち家は破産手続きの中で管財人により換価される(売却される)か、申立前に競売にかけられるか、のいずれかが基本なので、家族に秘密にすることは難しいでしょう。持ち家を失う以上、引っ越さないといけないので、家族に理由を告げないわけにもいかないと思います。 

もし、ご家族が住宅ローンの保証人になっている場合には、ご家族に請求が行くので、なおさら、秘密にはできません。それどころか、保証人であるご家族の方も支払えなければ破産手続きを取らざるを得ないと考えられ、そうすると、事前によく話し合ってから破産手続きを取るかどうかを決めたほうが良いでしょう。 

賃貸住宅に家族と住んでいる場合

持ち家でなければ、基本的に、そのまま住み続けることができます。したがって、退去を強いられたことで家族にわかってしまうということは、基本、ないでしょう(ただし、家賃滞納がある場合は、場合によっては退去せざるを得なくなりますが)。

しかし、裁判所によっては破産手続きの際に同居している家族の給与明細も資料として求めます。そこで、給与明細のコピーを取らせてもらう話をするときに、わかってしまう恐れはあります。

ただ、逆にいえば、未成年のお子様や、もう働いていない高齢のご両親、等であれば、同居していても給与明細の取得の件で話すという必要はないと思われ、秘密にできる可能性もあります。しかし、課税・非課税証明書など収入について示す他の資料を求められる場合は、秘密にし続けることは難しいかもしれません。

ご家族の収入等に関する資料をどこまで求めてくるかは裁判所により、また、ケースにより異なる部分もあり、何とも言えないところがあります。 

家族からお金を借りている場合

また、破産手続きはすべての債権者を債権者一覧に記載する必要があります。家族も例外ではないです。債権者一覧表に載せれば、裁判所から債権者宛ての通知が行くので、わかってしまいます。もっとも、破産申立前に債権放棄承諾書に署名、押印してもらえば、債権者一覧には載せなくてよいですが(債権者ではなくなるので)、当然、本人に話して書いてもらわないといけないので、いずれにせよ、秘密にはできないわけです。

なお、申立前に家族にだけ返済するのは偏波弁済といって、してはいけないことです。もし、これをしてしまうと、管財人から、受け取った家族の方がそのお金を破産財団に戻す(管財人に支払う)ように求められる可能性があり、かつ、免責が許可されなくなってしまう恐れもあるので、偏波弁済は絶対避けないといけません。

したがって、家族からお金を借りている場合は、その方にわかってしまうのは避けられないこととなります。

家族が保証人になっている場合

家族が住宅ローンの保証人になっている場合、本人(主債務者)が破産すれば、保証人が請求を受けることとなります。それによってわかってしまいますし、何よりも、保証人である家族も払えないと破産などの方法を取らざるを得なくなるので、大きな影響があることになります。

また、それ以外の債務について保証人になってもらっている場合も、保証人に請求が行く点は同じです。よくあるのは、奨学金の保証人になってもらっている場合です。この場合、父母のいずれかが連帯保証人になっている場合が多く、それ以外に叔父・叔母などが保証人になっていることがよくあります。そうすると、それらの方にも請求が行く可能性があります。通常はまず連帯保証人のところに請求が行く可能性が高いですが、いずれにせよ、そうしてわかってしまう可能性が高いわけです。

したがって、家族に保証人(連帯保証人を含む)を頼んでいると、基本的には、その家族にはわかってしまうことになります。

同居しておらず借り入れもなく保証人にもなっていないとき

ご両親等と別に住んでいて、かつ、その方からはお金を借りていなくて、かつ、保証人もお願いしていない場合は、秘密にできる可能性は高いと思います。もちろん、何か他にわかってしまうような事情があれば別ですが(たびたび遊びに来ていて郵便を見てしまう、等)、基本的にわかる可能性は低いと思われます。

破産手続開始決定時と免責決定時の2回、官報に住所と氏名が載るので、もし、ご家族の方が官報をご覧になればわかってしまうでしょうが、仕事などで確認している方はともかくとして、一般にはあまり読まれていないものだと思います。

まとめ

破産手続きを家族に秘密にできるか、というと、難しい場合が多いと思います。ただ、同居していない場合(ご両親等)については貸し借りや保証の関係がなければ秘密にできる可能性も高いし、同居している家族でも秘密にできる場合もあると言えます。

しかし、生活再建のための手続きですから、たとえご家族に秘密にできそうな場合でも、少なくとも配偶者がいる場合はその方とはよく話し合いをされて、家計の見直しについての相談を充分にして互いに納得したうえで進めたほうが、最終的にうまくいく可能性が高いと思います。仮に妻・夫に秘密にできたとしてもそれにより配偶者が家計の状況をよく把握できずに節約をせずに使い続けるようなことになれば、結局、生活再建もうまくいかない恐れがあります。そういう意味では、少なくともご夫婦ではよく話し合いをされてから破産手続きを選択することが望ましいと思います。

当事務所では、これまで多くの破産案件を扱ってきました。破産手続きに関して悩んでおられる方は、まずはご相談ください。当事務所では、債務整理(破産、再生、任意整理など)の相談は、相談だけなら何回でも無料なので、まずはご相談頂ければ、と思います。もちろん、民事再生、任意整理、など他の類型についても多くの経験がありますので、まだ迷っておられる、という方も、ぜひご相談頂ければ、と思います。

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