民事再生・・清算価値の考え方

1、清算価値保障原則とは?

民事再生においては、清算価値保障原則というものがあります。これは、民事再生法の条文174条2条が「裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、再生計画不認可の決定をする」とするところ、4号に「再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき。」としていることから求められるものです。すなわち、破産手続きにより財産を清算した場合より低い額の再生計画案は認可されないという定めです。

2、具体的にどういうときに問題になる?

民事再生だと債務を5分の1にできるという話を聞いたことがあると思います。例えば、1000万円の借金があっても200万円に減る、という話です。もっとも、100万円未満には減らせないという点や、必ず5分の1ではなく、金額によって異なる(例えば、1500万円以上3000万円までの場合は300万円に減らせる、など)ことにも注意が必要です。ただ、いずれにせよ、これは基本的な最低弁済額であり、他にも、清算価値保障原則を満たす必要があります(給与所得者再生だと可処分所得基準も同時に満たさなくてはいけません)。

つまりは、簡単に言えば、持っている財産の額より低い額まで減らすことはできない、のです。例えば、「債務が500万円ある場合に、預貯金が200万円あるけど、5分の1の100万円まで債務を減らす」ことが認められたら、債権者から見れば納得がいかないと思います。そういうことは、そもそも制度上できない、ということです。

そして、ここで、資産とされるのは預貯金だけではありません。

3、どのようなものが清算価値に算入されるか?

何が清算価値に算入されるか、ということですが、破産の場合に自由財産になるものを除くと原則として算入されると考えてよいでしょう。それゆえ、以下に挙げるものに限られるわけではないですが、代表的なものについて簡単に解説させていただきます。

よく問題になるのは、住宅の価値です。ローンが残っている場合、住宅の価値からローンの残高を差し引いた額が清算価値に算入されます。例えば、住宅の価値が3000万円で、ローンが2800万円なら、200万円の価値の家を持っている、ということになります。

ここで、住宅の価値は不動産業者の査定によることになります。査定は、最低2社出す必要があり、提出したものの平均を用いることになります。なお、この際、どのような査定でも認められるわけではなく、基本的に少なくとも1社は大手の不動産業者のものを含む必要があり、また、それなりにしっかりした査定でないと、裁判所から認めてもらえずに追加の提出を求められることもあります。(上記の扱いは、裁判所による異なる可能性があります)

住宅以外には

  • 預貯金(20万円以上ある場合)
  • 現金(99万円以上ある場合)
  • 自動車(20万円以上の価値がある場合)
  • 保険の解約返戻金(合計で20万円以上の場合)
  • 退職金(通常は8分の1で計算。ただし、退職予定が具体化していると4分の1で計算)
  • 相続財産(まだ遺産分割を行っていない場合は、法定相続分による)

などが挙げられます。

また、少し特殊なものとしては、偏波弁済により失われた財産、もあります。すなわち、破産の際に否認される(効果を否定される)ような不公平な弁済をした場合、その額も清算価値に算入されると考えられます。破産手続きの場合には管財人により取り戻されて財産に組み入れられ配当に充てられるはずだからだと解されます。その他、直近に贈与をしたような場合も同様に考えられます。

4、清算価値はいつの時点で判断されるか?

清算価値の判断の基準は、原則としては、再生計画案認可の時点です。しかし、実際は、その手前に再生計画案の提出期限があり、それまでに手続き上清算価値を明確にする必要があります。そこで、申立時点での額をいちおうの基準としつつ、再生計画案提出の時期を想定して修正する、ということが一般に行われています。すなわち、再生申立人代理人弁護士が申立書を作成するときには、申立時点の資産をもとに清算価値シートを作成し、そのまま認められることもあれば、再生委員や裁判所と協議しながら、再生計画案提出時に修正することもあります。よく指摘されるのが、住宅に関して、申立後再生計画案提出までの数カ月の間に住宅ローンを返済することで剰余価値が上がるので、それを反映させるべきということです。保険の解約返戻金も、保険料を振り込むことで毎月増えるのが一般的なので、再生計画案提出時までに増えた分を反映させるように求められることもあります。それ以外に、預貯金の変動などが問題になるケースもあります。いずれにせよ、本来は認可決定時であり、できるだけそれに近い時点での値を採用するのが原則であることを覚えておくとよいでしょう。

5、他の基準との関係

小規模個人再生の場合は、最低弁済額基準(よくいわれる「5分の1に減らす」など債務総額により定まる基準)と、清算価値基準の両方を満たさなくてはなりません。

給与所得者再生の場合は、最低弁済額基準、清算価値基準、可処分所得基準、のいずれをも満たさないといけません。

したがって、いずれの類型でも、清算価値基準を満たす必要があるということです。

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