小規模個人再生と給与所得者再生

2種類ある個人向け再生手続き

個人の民事再生には、実は、2種類あります。小規模個人再生と給与所得者再生です。いずれも、通常再生(おもに法人に用いられる再生)の特則として民事再生法13章で定められた個人向けの手続きであり、共通点も多いのですが、以下のよう異なる部分もあります。

小規模個人再生給与所得者再生
使える人職種の制限なし
(自営業も可)
給与またはそれに類する定期的な収入を得ている人
(サラリーマン、公務員、など)
収入の要件反復または継続変動の幅が少ない
*実務では過去2年について、2割以内の変動であることが目安と言われている
満たすべき基準最低弁済額基準、清算価値基準最低弁済額基準、清算価値基準、可処分所得基準
債権者の異議による再生計画案不認可のリスク制度上、あり制度上、なし

このように、相違点もありますが、基本的には、個人の再生手続きとして共通点が多く、いずれの場合も、住宅資金特別条項の適用が可能です。また、住宅ローン以外の債務総額は5000万円以下である必要があります。再生計画に従って減額した債務を3年ないし5年で返済していく仕組みも同じです。
また、再生を弁護士に依頼した場合に集めていただく資料も基本的に同じです。また、基本的な流れ(弁護士に依頼→資料の収集と費用の積み立て→申立て→開始決定→債権認否→再生計画案提出→再生計画案認可・確定→再生計画に基づく弁済開始)も変わりません。したがって、かかる期間も概ね同じと考えてよいでしょう。

小規模個人再生と給与所得者再生のメリット・デメリット

小規模個人再生給与所得者再生
メリット可処分所得基準が適用されない債権者の異議による不認可の制度がない
デメリット債権者の異議による不認可の制度がある可処分所得基準が適用される

ここで、可処分所得基準というのは、「2年分の可処分所得」を下回る弁済額を設定する再生計画案は認められない、ということです。可処分所得は生活保護の基準を元にどれだけ余力があるかを計算するものなので、収入が多い場合には多めになります。もっとも、扶養家族が多い場合には、その分控除されるので、緩和され、また、一定額までは家賃分も控除できます。このように、収入が多く扶養家族が少ないと、弁済額の下限が高くなるので、再生のメリットが減じられてしまいます。また、扶養家族がいてもやはり本人の収入がある程度高いと結局弁済額下限も高くなってしまいます。したがって、給与所得者再生は、収入が多い場合には使いづらい制度だと言えます。
一方、異議による不認可の制度は、小規模個人再生の場合に存在し、債権者数の半数以上または債権額の過半数の異議が出ると再生計画案は不認可となります。実際のところ、カード会社や消費者金融など一般的な債権者が異議を出すことは稀ですが、ないとはいえないので、サラリーマンや公務員など給与所得者の場合には、リスク回避のために小規模個人再生ではなく給与所得者再生を選ぶこともあります。
なお、自営業者の場合には基本的に給与所得者再生を使えないので、個人再生を希望するのであれば、小規模個人再生を使うことになります(例外的に、給与やそれに類する定期的な収入を得ていると評価されれば、給与所得者再生を使える可能性があります)。

いずれにせよ満たす必要がある基準

最低弁済額基準

元の債務額最低弁済額
100万円~500万円100万円
500万円~1500万円5分の1
1500万円~3000万円300万円
3000万円~5000万円10分の1

清算価値基準

破産手続きを取った場合に換価される資産の合計額。保有している資産額から自由財産とされるものを除いた額となる。裁判所により評価方法が異なる場合がある。一般的には、

  • 20万円以上の預貯金
  • 99万円以上の現金
  • 20万円以上の保険解約返戻金
  • 20万円以上の価値の自動車
  • 退職金の8分の1(退職が具体化している場合は4分の1)が20万円を超える場合
  • 不動産の価値のうち住宅ローンなど被担保債権を除いた額
  • 相続財産(未分割の場合は再生債務者の法定相続分に相当する額)

などが対象となりますが、これらに限る趣旨ではありません。自由財産の範囲をどう考えるかが裁判所によりやや異なるので、清算価値も異なってくる場合があります。

実際にどちらがよく用いられるか?

小規模個人再生のほうが用いられることが多いと思われます。なぜなら、小規模個人再生であれば可処分所得基準が適用されないので、収入が多い方でも大きく債務を減らせる可能性がありますし、一方で、債権者の異議が出るケースは少ないからです。また、自営業者の方は原則として給与所得者再生は使えません。
一方、債権者の異議による不認可のリスクを回避するため、給与所得者再生を申立てるケースもあります。
どちらの仕組みを選ぶのが良いかは、個々のケースに寄るので、まずは弁護士にご相談ください。当事務所では、小規模個人再生も給与所得者再生も、多く扱ってきました。

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