民事再生(小規模個人再生)の流れ

小規模個人再生について弁護士に相談、依頼した場合、どのような流れで解決に向かうのでしょうか? 個人再生という言葉はよく知られている反面、具体的なことはよくわからないという方も多いと思うので、簡単にまとめてみました。なお、基本的に東京地裁立川支部に申し立てた場合を念頭に置いた記載であり他の裁判所だと一部異なる可能性もあります。また、個別の案件により異なる部分が出てくることもあるので、あくまで参考としてご覧いただければ、と思います
(なお、個人向けの民事再生には「給与所得者等再生」という方法もありますが、このコラムでは小規模個人再生について解説していきます)

1.相談

まず、民事再生は複雑な手続きなので、弁護士に依頼せずに行うことは一般の方にはかなり難しいと思います。そこで、民事再生をするかどうか迷ったら、まずは弁護士にご相談することをお勧めします。当事務所の場合は、お電話か電子メールでご予約の上、立川の事務所までご来訪いただくことになります。平日夜や日曜日の相談も可能なので、まずはご相談ください。当事務所の場合、民事再生など債務に関して相談料はかかりません。

2.依頼

弁護士に相談して、民事再生が良いということになった場合は、委任契約を締結することとなります。もちろん、債務整理には再生以外に任意整理や自己破産もあり、ケースによってどの方法が良いかは異なるので、ご相談の結果、任意整理や自己破産をお勧めする場合もあります。もちろん、相談したら必ず依頼しないといけないわけではありません。弁護士の説明をお聞きになって、また疑問点についてはご質問頂き弁護士の回答を聞いて、その上で、民事再生が良いということになれば、ご依頼いただければ、と思います。

3.受任通知発送

民事再生の依頼を受けた弁護士は各債権者に受任通知を送ります(介入通知という呼び方もあります)。受任通知を受けた各債権者(銀行やカード会社など)は債務者本人への連絡を控え、かつ、取引履歴を代理人弁護士に送ってきます。取引履歴が出そろうまでは3か月程度かかることが多いです。

なお、取引履歴を確認して過払い金がある場合は、弁護士は該当するカード会社等と交渉して過払い金を回収します。回収のタイミング次第では、その過払い金を弁護士費用に充てることもできます。(ただ、最近は過払い金が発生するケースは多くはないです)

4.書類収集

民事再生の申立てには、銀行通帳(2年分)、課税・非課税証明書、給与明細(2か月分)など様々な書類が必要です。それらは基本的にご依頼者様に取得頂きます。ただ、住宅再生(住宅資金特別条項を付けた再生)に必要な不動産の査定等は事務所側で取得する場合もあります。

種類の収集はご依頼後早い段階からお願いします。たしかに給与明細等は裁判所への申立ての直前2か月分を提出するのですが、代理人としても早い段階から家計の状況等を把握しておきたいからです。家計の一覧も毎月ご提出をお願いします。

その他、陳述書と事情聴取書という書類のご記入もお願いしています。陳述書は仕事の経歴や家族構成などを記入いただく書式で、事情聴取書は借り入れ開始から現状に至るまでの債務増大の経緯を書いていただく書式となっています。なお、これらの書式は当事務所作成のものなので、事務所により異なると思います。ただ、どこの事務所に依頼しても、裁判所に提出する申立書の書式は概ね同じなので、聞き取り事項も似たようなものだと思います。

どのような資料が必要か、詳細は、ご依頼の際にご説明して一覧表をお渡ししますのでご安心ください。

5.費用入金

弁護士費用や実費をご入金いただく必要があります。基本的に分割でのお支払いが可能です。月々の金額は、家計状況等により決めることになりますので、ご相談の際にご確認ください。弁護士に御依頼いただいた時点から債権者への支払いは止めることとなるので、それにより家計にできた余剰の中から支払っていただく形が基本です。もちろん、賞与等の際にまとめてご入金いただければ早く費用の支払いを終えることができるので望ましいといえるでしょう。

なお、弁護士費用は事務所により異なるので、ご依頼を検討している事務所にご確認頂ければ、と思います。もちろん、当事務所ではご相談の際に費用についてもご説明します。また、委任契約書に金額や計算方法、支払い方法を明記させていただきますので、それに従って支払いいただければ、と思います。

書類の収集と費用の入金はご依頼後に並行して行っていただく形になります。

6.裁判所への申立て

弁護士費用や実費のご入金を頂き、必要な資料もそろえば、いよいよ裁判所への申立てへ進みます。当事務所では、申立て前に一度ご来訪いただき、申立書の内容をご確認いただくようにしています。申立書には、小規模個人再生を行いたいという趣旨を記載する他、債権者一覧表、報告書、家計一覧表、など申立代理人が作成した書類を添付し、同時に、集めていただいた資料(通帳、給与明細、保険証券、などの写し等)を添付します。

申立書をご依頼者様にご確認いただき、問題がなければ、管轄の地方裁判所(東京の多摩地区の場合は東京地裁立川支部)に申立書を郵送または持参して提出します。

これにより、裁判所ははじめて民事再生事件として認識して、事件番号を振り、必要な手続きを始めます。逆に言うと、この前の段階では債権者は弁護士が介入したこと債務者が民事再生の方向で動いているという方針は理解していても、裁判所はまだかかわっておらず、申し立てを受けて初めて裁判所はこの債務者が再生を求めているということを知るわけです。

7.再生委員面談

裁判所への申立てからしばらくすると、再生委員が選任されます。再生委員は他の事務所に所属する弁護士で、裁判官の補佐的な役割を行います。すなわち、申立代理人が提出した記録を確認し、申立人や代理人と面談し、開始決定や認可についての意見を裁判所に伝えたり、申立人や代理人に必要な指示をする、などの業務を行います。再生委員は民事再生法という法律で権限や業務内容等を定められているので、債務者は再生委員の指示には従い、また、迅速に対応することが求められます。このように、再生委員は小規模個人再生においては重要な役割を果たしています。

東京以外の裁判所では再生委員が選任されないこともあり、その場合は裁判所から直接代理人あてに様々な指示がされます。

再生委員が選任されると、通常、1週間程度の間に、面談が行われます。基本的には再生委員の事務所に債務者(申立人)と代理人弁護士が訪れて面談を行いますが、ケースにより申立代理人の事務所を使ったりオンラインで行う等、別の形で行われることもあります。再生委員面談では、おもに、再生委員が債務者本人に、ここに至った経緯や、通帳の記録の不明確な点等について質問をしますので、債務者は正直に回答する必要があります。

8.開始決定

再生委員との面談の際には、多くの場合、若干の追加の報告や書類の提出を求められますが、それらを行なえば、再生委員は裁判所に開始相当の意見書を出します。そうすると、裁判所は通常、すみやかに開始決定を出します。申し立てから開始決定までは1か月程度かかることが多いです。

順調に進む場合。再生で行うことに重大な問題がありそうな場合には、その問題を解決できないと開始決定が出ないということもあり得ます。例えば、再生により減額してもなお3年~5年での返済が難しそうな場合には開始決定が出ずに終わってしまう恐れもあります。

開始決定により、いよいよ、正式に民事再生手続きが始まることとなります。

9.認可決定まで

開始決定から認可決定まではおおよそ6か月程度です。再生債務者は、再生委員の指示に従い、履行テストとして、再生委員の口座に一定額を毎月振り込む必要があります(第1回の振り込みは再生委員決定後速やかに行うこととなっています)。振り込みの額は、再生計画案が認可された場合に債権者に月々支払う額を基準に定められます。例えば、「もともと債務が300万円あり、民事再生で100万円に減額してもらう。これを月々約2万8000円、3年間で支払う」という趣旨の再生計画案を提出する予定の場合には、再生委員に再生計画案認可までの間月々2万8000円を支払うこととなります。もちろん、この期間は債権者への支払いはまだ始まっていないので、支払先は再生委員だけであり、債権者への返済と重なることはありません。なお、履行テストで支払った中から15万円が再生委員の報酬となり、残りが返金されるのが一般的な運用です。

一方、債権者は期限までに債権届を裁判所に提出し、債務者代理人はそれに対する認否を行います。ここで、この時点までの利息・遅延損害金を込みにした金額を債権届に記載して提出してくる債権者が多いですが、提出がなければ、申立書に記載した金額で進めていくことになります。

債権額に争いがある場合は、債権を確定するための手続きが必要となります。債権額に争いがある場合は、異議申し立て、評価申立て、を経て裁判所が判断する流れです。ただ、小規模個人再生で債権額について争われるケースはあまりないです。それゆえ、多くの場合、一見するとその間何も動いていないように見えますが、債権額について争われるケースも想定して法が定めた手続きですので、手続き上必要な期間といえます。

上記の期間が終了後、再生計画案の提出期限が設定されており、それまでに再生債務者は再生計画案を提出します。弁護士に依頼しているときは弁護士が作成、提出しますので、ご安心ください。再生計画案は、例えば、「再生債権の20%を支払う。残りは免除を受ける。3年間で支払う」というような内容です。その内容は、最低弁済額基準、清算価値基準、の両方を満たしている必要があります。また、住宅ローンがある場合は、その支払い方法(そのまま支払う、など)も記載することになります。

民事再生法の定めに反しない再生計画案を作成し、裁判所に期限内に提出すると、その後は債権者の書面決議になります。書面決議は、要は、不同意の債権者はその旨裁判所に届け出る、ということであり、不同意が債権者数の半数以上または債権額の過半数のいずれかを超えてしまうと、再生計画案は不認可となります。

ここで、住宅資金特別条項を設定した場合における住宅資金貸付債権(住宅ローン)は債権者数、債権額に含まれません。

一方、期間内に上記の数の不同意意見が裁判所に提出されなければ、書面決議は可決されたということになります。ただ、最後の段階でも裁判所は審査するので、家計の状況や履行テストの支払いに問題があると、ここで不認可になることもあり得ます。

10.認可決定と、その後

認可決定が出れば、あとは、確定を待ちます。官報に掲載されて2週間で確定です。確定したら、その翌月から支払い、というのが一般的です(再生計画案にそのような内容を定めます)。

代理人弁護士は、各債権者に支払い口座を書面で確認し、回答が来たらまとめてご依頼者様に送りますので、その記載の口座に月々返済いただく、形になります。同時に、再生計画案と返済計画表の写しもお送りしますので、それを確認いただくと月々の返済額等もわかります。もし、返済方法等に不明点がある場合は、依頼している弁護士にご確認ください。

その後は、ご本人様から各債権者の口座に返済いただくことになります(当事務所の場合)。なお、返済が著しく遅れると債権者の申立てにより再生計画案の認可が取り消されてしまう恐れもあるので、しっかりと返済をしていく必要があります。

基本的に、以上が小規模個人再生の流れとなります。なお、一般的な流れであり、すべての案件に当てはまるわけではないので、個別の案件についてはご相談ください。また、当事務所でのご依頼の場合の流れを前提に記載しているため、事務所により費用の積立方法や書類の収集方法等について少し異なる場合もあると思います。その点もご理解の上、ご覧頂ければ、と思います。

当事務所は、これまで多くの民事再生(小規模個人再生、給与所得者等再生)案件を扱ってきました。民事再生をご検討の方、ぜひ、多摩中央法律事務所にご相談ください。ご相談ご希望の方は、まずはお電話か電子メールでのご予約をお願いします。ご予約の上、立川の事務所にご来訪ください。平日は午後9時まで(電話受付は午後7時30分まで)、日曜日は午後7時まで、営業しております。

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